糖質制限で痩せる仕組み

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糖質制限とは

糖質制限とは様々な栄養素の中でも糖質のみを制限した食事をすることですが、元々は糖尿病の患者のための治療として行われていました。

数年前からはダイエットにもよいとされ、急速に普及し、今でも主食を控えたり、糖質の吸収を抑えるサプリメントが人気だったりとダイエットの主流となっています。

管理人こぶたも酵素ダイエットをしつつ、糖質制限を並行しています。(管理人こぶたは糖質で太るタイプなので尚更、効果が高いです)

ダイエットはカロリー制限から糖質制限へ

これまで、ダイエットではカロリーを制限することが重要と考えられていましたが、本格的にカロリーを抑え自炊するには、使用する食材や調味料のグラムを計って細かく計算しなければいけません。しかもそれを食事のたびに行わなければいけないため、煩わしさを感じて挫折してしまう人が多くいました。

また、食事の量を大幅に減らすことでカロリーの摂取を抑えるような、大雑把なやり方に流れてしまいやすくなります。食事の量を減らせば、確かにカロリーの摂取を抑えることはできますが、そうすると今度は必然的にいつもお腹が空いた状態になり、ストレスが溜まりやすくなります。結果、ストレスが原因で暴飲暴食してしまい、ダイエットに失敗してしまうことが多かったようです。

また低カロリーのものだけを食べ、栄養不足となると食欲を抑えることが難しくなってしまいます。これも挫折の原因です。

しかし、糖質制限なら、糖質が含まれる食材を食べなければよいので、面倒な計算もなく、糖質を含まないものであればお腹いっぱい食べることも可能です。

このような手軽さが人気となって、糖質制限はブームから定番のダイエット方法となっていきました。

炭水化物制限との違い

糖質制限と並び、よく聞かれる言葉に炭水化物制限がありますが、この2つは似て非なるもの。両者の大きな違いは、食物繊維の有無にあります。

炭水化物は「糖質+食物繊維」の総称のため、食物繊維も制限の対象に含まれます。

食物繊維は、1970年代までは栄養がなく「取るに足らないもの」とされてきましたが、現在では第6の栄養素と呼ばれ、体にとって重要な役割を行うことがわかってきました。あまり栄養に詳しくない人でも、食物繊維には腸内環境を整え、お通じの改善に効果があることを知っているはずです。

炭水化物制限は糖質だけではなく食物繊維も制限する必要があるため、便秘などの症状が起こりやすいです。

一方の糖質制限では、食物繊維はむしろ積極的に食べることを推奨しています。そのため、糖質制限と炭水化物制限には、明確な違いがあるのです。

糖質に偏る食事が良くないと言われている理由

糖質(炭水化物)は、たんぱく質、脂質と並び、三大栄養素の一つに数えられているものですが、飽食が問題視される現代では摂り過ぎが懸念されています。

糖質の摂り過ぎは糖尿病などの生活習慣病の原因と言われており、WHO(世界保健機構)でも摂取を減らすように指針が出されています。

血糖値が高いと病気になりやすい

血糖値とは、血液中に含まれるぶどう糖(グルコース)の割合を表したものです。

血糖値が高いということは、血液中にそれだけ糖が多くあるということになりますが、健康診断などで血糖値が高いと言われても、体調に変化がなければ「大したことない」と放置している場合も多いようです。

血糖値が高いと、血液の濃度が濃くなり、動脈硬化や高血圧などを引き起こしやすくなります。

また、血糖値が高くなる原因として血液中の糖を上手く処理できていないことが考えられますが、特に注意したいのが糖尿病です。

糖尿病には、血液中の糖をエネルギーに利用するために働くインスリンの分泌が極端に少ないⅠ型糖尿病と、過食、運動不足、遺伝などが原因で起こるⅡ型糖尿病があり、糖尿病患者のうち実に9割がⅡ型糖尿病を発症していると言われています。

糖尿病は初期には自覚症状がほとんどありませんが、進行すると網膜症や腎症、神経障害症と言った合併症を引き起こしやすくなります。

あまり知られていない砂糖依存症の怖さ

疲れたりストレスを感じると、甘いものが食べたくなります。仕事や人間関係のイライラを、甘いものを食べて解消したことがある人も多いはず。

甘いものを食べるとストレスが解消するのには、きちんとした理由があります。

甘いものに多く含まれる糖質、特に精製された砂糖を摂取すると、脳内ホルモンのエンドルフィンとセロトニンの生成が活発になります。エンドルフィンとセロトニンは別名「幸せホルモン」と呼ばれており、幸福感や心の落ち着きをもたらす働きがあることため、甘いものを食べるとストレスが解消されるのです。

しかし、疲れやストレスを感じるたびに甘いものを摂ると、やがて脳が甘いものを摂ることに快感を覚えてしまい、疲れやストレスに関係なく常に甘いものを欲するようになります。

糖質の中でもお菓子やジュースなどに多く含まれる砂糖は、特にこのような中毒症状を引き起こしやすいことで知られています。

甘いものを食べないと満足できない、甘いものを食べないとめまいや体のふらつきが起こる、甘いものが自分の近くにないと落ち着かないなどの精神状態は、砂糖依存症に陥っているかもしれません。

もし、毎日習慣的にペットボトルのジュースを飲んでいるとしたら、既に砂糖の摂り過ぎになっている可能性があります。清涼飲料水には自分が思っている以上の糖分が入っており、それを砂糖で換算すると「こんなに!?」を思える程の量になります。※ 以下は清涼飲料水の糖分量より計算、スティックシュガーは3g

  • ポカリスエット 500ml スティックシュガー10本分
  • ファンタグレープ 500ml スティックシュガー20本分
  • 午後の紅茶 ストレート 500ml スティックシュガー7本分
  • ジョージア エメラルドマウンテンブレンド 190ml スティックシュガー 5本分

なお、砂糖はお菓子やジュース以外にも、調味料、レトルト食品、缶詰などにも多く含まれているため、お菓子やジュースを摂らないからと言って砂糖を摂取していないわけではありません。それを踏まえた上で自分が摂っている1日の糖分量の見直す必要も出てくるかもしれません。

糖質制限をするとどうして痩せるのか

糖質の摂取を抑えることでダイエット効果が得られる理由には、主に次の3つがあります。

カロリーを減らせる

一日の食事のうち、炭水化物(糖質+食物繊維)から得られるカロリーは、およそ50%に及ぶと言われているため、糖質を減らすことで必然的にカロリーの摂取を抑えることができます。

血糖値の急上昇を抑える

糖質を含む食事を行うと血液中の糖が増えるため、これを処理するために膵臓からインスリンというホルモンが分泌されます。

インスリンは、糖を必要とする細胞に糖を運んでエネルギーとして利用させることで、血液中の糖を一定量に保つ役割を担っていますが、過剰に分泌されると余った糖を脂肪として溜め込んでしまう性質も持ち合わせています。

このため、糖質の多い食事によって血糖値の上昇が激しくなるほど、インスリンの分泌が多くなり、食べたものを脂肪として溜め込みやすくなってしまうのです。

また、血糖値は食後1~2時間にピークを迎え、そこから徐々に下がっていきますが、血糖値の上がり方が急激だと、反対に下がる時も急激になります。

人は血糖値が下がると空腹を感じますが、上下の差が大きいほど強く空腹を感じるため、血糖値の急上昇を抑え血糖値を緩やかに上げることで、満腹感を持続させて無駄な間食を防ぐことができます。

脂肪燃焼が促進される

糖質制限によって体内に入ってくる糖質が少なくなると、エネルギーを作るために蓄えられた脂肪が燃焼されます。

また、体内におけるエネルギー生成の優先順位は、糖質→脂質→たんぱく質となっており、糖質が不足すると、糖質以外からエネルギーとなるぶどう糖を合成する「糖新生」が行われます。

糖新生はそれ自体がカロリーを多く消費するため、さらに脂肪が燃えやすくなるのですが、糖新生でも十分なぶどう糖が合成できなくなると、今度は脂肪酸からエネルギーを産み出す回路へとシフトします。これによって、中性脂肪を原料にエネルギーを作るため、ますます脂肪が燃えるというわけです。

この時、脂肪酸の一部が肝臓にてケトン体という物質に変わることから、このような脂肪燃焼のサイクルは「ケトン体回路」や「ケトジェニック回路」と呼ばれています。

糖質の働き

肥満や病気を招く一因となる糖質を制限することは、体にとって非常に良さそうです。実際に糖質をどんどん制限して、健康になったりダイエットに成功した人は多くいます。「糖質は摂らなくてもよい」このように言っている人もいます。

しかし、糖質制限の落とし穴はこの部分にあるのかもしれません。

糖質制限が行われるようになってからまだ日が浅いため、人体にどのような影響を与えるかよくわかっていないのが現状です。

加えて、糖質はたんぱく質、脂質と並ぶ三大栄養に数えられているわけですから、「摂取しなくても問題ない」ことはあり得ません。

糖質を摂取するのは人間の本能

脳においてぶどう糖は唯一のエネルギー源となります。また、脳は体の中で最もエネルギーを使う臓器で、その割合は一日に消費されるエネルギーの18%に及びます。

このため、糖質が不足すると真っ先に影響を受けるのが脳になります。

脳が働かなくなるのは極めて危険ですから、脳は必死に「糖分を摂りなさい」と指令を出します。糖質制限を伴う過剰な食事制限をすると、強い食欲に負けてしまう人が多いのはこのためです。

糖質を摂るということは、人に備わっている生命維持のための本能と考えてよいでしょう。

糖質の役割

糖質は、単糖(それ以上加水分解できない糖)から構成される有機化合物の総称を指します。

中でも単糖類の一つであるぶどう糖は、自然界に最も多く存在する単糖の一種で、日本ではぶどうに多く含まれることからそのように呼ばれています。

ぶとう糖は、脂質やたんぱく質よりも早く吸収され、エネルギーをして活用される他、赤血球や腎臓の髄質、精巣などにおいては脳と同様に唯一のエネルギー源となっています。また、ぶどう糖が全身に運ばれ、エネルギーとして使われる際には熱を発生させるため、体温を維持する働きも行っています。さらに、ぶどう糖には視床下部に働きかけて、満腹感を得やすくする作用もあります。

極端な糖質制限が招く弊害とは

糖質制限によって健康な体を手に入れたり、ダイエットに成功する方がいる一方で、健康を害してしまう人もいます。

糖質が不足すると、体力の低下、筋力の低下、疲労の蓄積、倦怠感、集中力の欠如、無気力になる、不安感やうつ症状になるなど、心身に大きなダメージを与えると言われています。

ケトン体の増加による体調不良

糖質制限によって糖質が不足すると、脂肪酸を燃やしてエネルギーを産み出しますが、その際代謝物質としてケトン体が生成されます。

そのため、ケトン体が増えると言うことは、それだけ脂肪を多く燃やしていることに繋がりますが、ケトン体が増えすぎると吐き気や頭痛、倦怠感などが起こりやすくなると言われています。

これをケトーシスと言います。

また、糖尿病患者の方の口臭や体臭が甘酸っぱいような腐敗臭がするのは、ケトン体が体内で大量に発生しているからです。同様に体内でケトン体が増える糖質制限では、自分の口臭や体臭に悩む人も少なくありません。

なお、糖尿病(特にⅠ型糖尿病)の場合、ケトン体が増加し過ぎると、意識障害や昏睡状態に陥ることがあります。これをケトアシドーシスと言いますが、ケトーシスとケトアシドーシスは同じ意味ではありません。ケトーシスは血液中のケトン体が上昇した状態を指し、ケトアシドーシスはケトン体の増加によって血液が酸性(通常、血液は弱アルカリ性)に傾いてしまう状態を指します。

たんぱく質の摂り過ぎによるリスクもある

糖質制限を伴うダイエット方法の中には、糖質さえ食べなければ他は好きなだけ食べてよい、としているものもあります。

糖質を摂らなければお腹いっぱいになるまで食べてもよいと言うのは、一見するととても魅力的に聞こえますが、裏を返すと安易に糖質以外の栄養の摂り過ぎに繋がってしまいます。

中でも肉類に多く含まれるたんぱく質や脂質は、食べ過ぎてしまうと血液中のコレステロールが増え、最悪の場合死に至る脳梗塞や脳卒中、心筋梗塞のリスクが高くなります。

さらに、糖質制限に伴うたんぱく質の過剰摂取には、次のような危険があると警告されています。

中年以降の女性は骨粗しょう症に注意

たんぱく質はたくさん食べても体内に蓄えておくことができず、不必要な分は排泄されますが、この時カルシウムも一緒に排泄されてしまうため、骨や歯などが弱くなりやすいと言われています。

特にダイエットに関心の高い女性の場合は、生理に伴って骨密度が低下しやすいため、そこに糖質制限が加わるとさらに骨密度が下がり、骨粗しょう症を引き起こしやすくなると言われています。

老化が進む

たんぱく質の過剰摂取は、体内で異常たんぱく質が生成される確率を増やすことがマウスによる実験でわかっています。

異常たんぱく質が増えると、肌が荒れる、脱毛など見た目の変化が現れるだけではなく、学習能力の低下なども見られ、老化が30%早く進むと言われています。

極端な糖質制限を行った経験者の中には、体重は一気に減ったもののその後様々な体調不良に悩まされ、糖質の摂取を再開したところ、症状が改善した例もあるようです。

ダイエット中の糖質の摂り方

糖質は、ダイエットのために極端に摂取量を減らすのではなく、適量を摂取することが大切です。また、糖質の量だけに意識を向けるのではなく、摂り方を工夫することも必要です。

食物繊維を一緒に摂る

糖質単体を摂取すると血糖値が上がりやすくなってしまいますが、食物繊維をプラスすることで糖の吸収を抑えてくれるため、血糖値の急上昇を防いでくれます。

食物繊維は野菜や果物、海藻類、きのこ類などに多く含まれているので、食事ではこれらの食材を積極的に摂るようにしましょう。

糖質の多いものは食事の最後に食べる

これは「順番食べ」と言われている方法ですが、食事の最初に食物繊維、次にたんぱく質、最後に糖質(炭水化物)を摂ることで、血糖値の上昇を緩やかにすることができます。

また、ご飯やパンを食べる前にそれ以外の食べ物でお腹が満たされるため、無理なく糖質の摂取量を減らすことができます。

主食を食べる時は精製されていないものを選ぶ

ご飯やパンなどの主食は、精製されている白米や小麦粉よりも、玄米や雑穀米、全粒粉、ライ麦などの精製されていないものを選んだ方が、食物繊維を始めとした栄養が多く残っており、血糖値の急上昇を防ぐことができます。

GI値からみても、精白米はGI値が81に対し、玄米は55。血糖値の上昇も玄米の方が随分緩やかです。(70以上が高GI値食品、55以下が低GI値食品と言われています。)

また、白米を炊く時にこんにゃくやしらたきを入れてかさ増ししたり、パンを手作りする場合にはおからを混ぜたり、砂糖の代わりにはちみつを使うなどしても、簡単に糖質を減らすことができます。

まずはお菓子を止めてみる

ダイエット中にお菓子を食べるのはどうかと思いますが、少しずつ改善していきたいというのなら、お菓子を止めるだけでも効果的です。

いきなり糖質制限をしても続かなそうだったり、空腹にだけは耐えられない!という人は、砂糖を大量に使うお菓子を止め、別のものに変えるだけでも違います。砂糖よりも血糖値を上げにくい果糖が含まれる果物や、食物繊維が豊富なドライフルーツ(砂糖不使用)などがお勧めです。

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