BHT

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読み方・表示名 BHT・ジブチルヒドロキシトルエン・ブチル化ヒドロキシトルエン(別名)
使用用途
使われている主な食品 にぼし・バター・油脂・魚介の冷凍食品・魚介の乾物など
使われている主な製品 中国産「麻花」
※「パーム油」に多く使われているが、「植物油・植物油脂」となっていることが多く実態は不明
毒性 発がん性の疑いがある

酸化防止剤ってなに?

食品は空気に触れると、時間とともに劣化していきます。その変化を「酸化」と言いますが、具体的にはどうなることでしょうか。

水溶性成分の酸化

  • 酵素が関わる変色(りんご、バナナなど)
  • 酵素がかかわらない変色(味噌、醤油など)
  • 味、風味の劣化

油脂類・油溶性成分の酸化

  • 変色、異臭、ドロッとしてくる
  • 過酸化物などの変化による有害物質の生成

しばらく使っていなかった醤油が濃くなって、まずくなったり、味噌の表面が茶色くなったりすることがあります。

これらも酸化の一種です。特に油の酸化は、気がつかないうちに有害物質が発生していることがあるので、古い油での揚げ物などは気をつけなければなりません。

酸化防止剤というのは、これらの悪変を抑えたり、遅らせる効果を持つ添加物ということになります。

BHTは1954年にFDA( アメリカ合衆国食品医薬品局 )により、食品添加物として使用が認められました。

シリアルやチューインガム、ポテトチップスなどに使用されています。

しかし、その後の研究で、変異原性( 生物の遺伝情報に変化を引き起こす作用 )が認められ、また、催奇形性( 生物の発生段階に奇形を生じさせる性質 )の疑いがあるとして、日本・ルーマニア・スウェーデン・オーストラリアでは食品への使用はしていません。

アメリカでも乳幼児食品には使用が禁止されています。1970年代以降、BHTの変わりにBHAが使用されるにつれて、徐々に使われなくなってきています。

しかし、BHAも研究が十分ではなく、安全が確認されたわけではないことを忘れてはなりません。

よく、「 動物実験 」という言葉を耳にしますが、食品添加物の安全はどのようにして確認されているのでしょう。

毒性を確認する試験には様々な項目があります。

  • 反復投与毒性試験
    実験動物(ラット・マウス・イヌなど)を使用し、いろいろな毒性を調べる。食品添加物を飼料に混ぜて被検動物に28日間~1年(場合によっては長期間)与え続けた時に現れる毒性や毒性変化の認められない無作用量を求める。
  • 繁殖試験
    二世代にわたって与え、繁殖機能や新生児の成長に及ぼす影響を調べる。
  • 催奇形性試験
    妊娠中の被験動物に与え、胎児への影響を調べる。
  • 発がん性試験
    被検動物のほぼ全生涯にわたり投与して発がん性を調べる。
  • 変異原性試験
    細胞の遺伝子や染色体に与える影響を調べる。発がん性を検討する上での予備試験。
  • 抗原性試験
    アレルギー反応を起こさないかを調べる。
  • 一般薬理試験
    中枢神経系や自律神経系に及ぼす影響や消化酵素の発生を阻害し、被検動物の成長を妨げる性質の有無を調べる。

これだけの試験を繰り返し、無毒性量(実験動物で有害な作用を示さない量)を測定します。そして、安全係数を用いて、ADIと呼ばれる人間の一日摂取許容量を割り出すのです。

※安全係数=種差(動物とヒトとの違い)10×個体差(ヒトにおける個人的な差)10=100
ADI(Acceptable Daily Intake)=実験動物から測定した無毒性料÷安全係数(通常は100)

この使用基準は

  • 食品添加物をどのような食品にどのくらい与えてよいかを示したもの
  • 食品添加物の品目ごと、または対象となる食品ごとに定められている
  • ADIに安全係数をかけることで、日本人の各食品の摂取量などを考慮した上で仕様対象食品や最大使用料を決める

ほとんどが目には見えない食品添加物なので、自分がどのくらいの量を摂取しているかがわからないところに、添加物に対する怖さがあると思われます。

食品メーカーには、企業利益ばかりを追い求めすぎて、必要最低限以上の添加量にならないようにすること、消費者の立場にそった商品開発をお願いしたいです。

そうでなければ、このインターネット社会において悪い噂はあっという間に広がり、非売運動につながることにもなりかねません。

私たちも、無添加、有機栽培などのセールストークに踊らされず、食品を見極める目を持ちたいものです。

  • B!