ヒアルロン酸

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年齢を重ねると気になってくるのが、肌の乾燥によるしわやたるみ。その改善法として、ヒアルロン酸配合の化粧品の利用や、美容医療を検討している人は多いと思います。

しかしヒアルロン酸について、コマーシャルやお店などで見かけるポップの影響で「何となく肌によいもの」というイメージは持っているものの、具体的にはどのような成分なのかよくわからない人も多いかもしれません。(管理人こぶたがそうでした)

このページではヒアルロン酸について、学びたいと思います。

ヒアルロン酸とは

ヒアルロン酸は、グルクロン酸とN-アセチルグルコサミンという単糖が交互に結合してできたムコ多糖(※)という糖類の一種です。

人の体に元からある成分で、主に皮膚内や関節に多く存在します。

細胞と細胞の間に含まれ、クッションのように衝撃から守る役割を果たしています。また、ヒアルロン酸1gで6ℓもの水分を保持する性質を持つことから、肌の保湿性を高め、ハリや潤いを保つのに役立ちます。

(※)ムコは動物性の粘液を意味するラテン語のmucusが語源となっている通り、ネバネバとした粘性を持っているのが特徴です。例えば、血液や唾液、鼻水などはヌルヌルとしていますが、これはムコ多糖が含まれているからです。

ヒアルロン酸の発見

ヒアルロン酸は、1934年に牛の目の硝子体から発見されたのが始まりです。

硝子体はギリシャ語でHyaloid(ヒアロイド)であることから、そこから発見されたためHyaluronic acid(ヒアルロン酸)と名付けられました。

ヒアルロン酸は加齢とともに減少していく

ヒアルロン酸は、赤ちゃんの時を100%とした場合、40代では50%、60代では25%、70代では20%まで量が減ってしまうと言われています。年をとると、肌の潤いがなくなってしまうのはこのためです。

ヒアルロン酸は肌だけではなく、膝などの関節にも多く含まれているため、ヒアルロン酸が減ると関節痛などを起こしやすくなります。

ヒアルロン酸の働き

ヒアルロン酸は体の様々な部分に含まれていて、それぞれで重要な働きをしています。

皮膚

皮膚は体の外側から順に、表皮・真皮・皮下組織に分かれており、ヒアルロン酸はこの中の真皮層に多く含まれています。

真皮層には、肌のハリや潤いに必要なコラーゲンやエラスチンと言った成分も存在しますが、ヒアルロン酸は組織内にあるこれらの成分の合間に水分を保持した形で存在し、肌を乾燥から守っています。

眼球の水晶体後方にある硝子体と呼ばれる円形部分に、ヒアルロン酸が多く含まれています。

眼球を丸く保つ働きの他、ドライアイから目を保護する役割もあります。

関節

関節には、骨と骨の間に関節腔と呼ばれる空洞があり、そこは骨に付着した軟骨と関節液によって満たされています。

ヒアルロン酸は関節液の中に多く含まれ、軟骨が摩擦によってすり減ってしまうのを防いだり、衝撃を吸収して痛みを和らげる働きを担っています。

脳と頭蓋骨の間にある髄液にヒアルロン酸が含まれていて、脳を衝撃から守っています。

血管

ヒアルロン酸によって血管の弾力性や柔軟性が保たれ、血液の流れをスムーズにします。

コラーゲンとの違い

ヒアルロン酸と並んで、美肌の維持に欠かせないと言われているのがコラーゲンです。

コラーゲンは、皮膚の他に、血管や骨、軟骨、腱などを構成するたんぱく質の一種。ヒアルロン酸と同じく真皮層に多く存在しますが、その割合はコラーゲンが70%と真皮層の大半を占めるほどです。

ヒアルロン酸もコラーゲンも、肌のハリや潤いを保つための成分と認識されていますが、その作用は異なります。

コラーゲンは、エラスチンとともに繊維を作る働きがあり、繊維が集まって線維となり、大きな柱となって真皮を肌の内側から支えますが、ヒアルロン酸はコラーゲンとエラスチンでできた柱と柱の間を埋める壁、と言った感じです。

柱だけあっても、壁がなければスカスカになってしまいます。逆に壁があっても柱が立っていなければ、壁は崩れてしまいます。このように、コラーゲンとヒアルロン酸はどちらか一つがあればよいのではなく、両方が上手く噛みあって、初めてハリや潤いのある肌を作るのに役立ちます。

天然と人工

ヒアルロン酸には、動物から抽出される天然由来成分と、乳酸菌などの微生物を用いた発酵によって生成される人工(バイオ)成分とに分かれています。

動物由来のヒアルロン酸は、分子が大きいため経口摂取には向きません。直接体内に注入できる、医療や美容の場での使い方に向いています。

一方、化粧品やサプリメントなどに使われるヒアルロン酸は、人工成分を用いて分子を小さくし、肌や体内での浸透率を高めています。

なお、人工成分のヒアルロン酸は、ヒアルロン酸Na(ナトリウム)という名称で成分表に記載されています。

ヒアルロン酸が含まれる食物

ヒアルロン酸は最初に説明した通り、ムコ多糖の一種なので、ネバネバした食品に含まれています。

ヒアルロン酸を多く含む食物には、鶏の軟骨や鶏手羽、豚足、フカヒレ、うなぎ、鮭、鰈(かれい)、魚の目、山芋、オクラ、もずく、納豆などがあります。

また、鶏のトサカは昔から美容効果があると言われており、楊貴妃や西太后、カトリーヌ・ド・メディシス(フランス王アンリ2世の妻)が好んで食べていたとされています。

ただし、これらの食物を摂取したとしても、体内ではヒアルロン酸としてはほとんど吸収されません。なぜなら、ヒアルロン酸は分子が多くて吸収されにくい上、熱に弱い特徴があるので、加熱調理によってその成分の多くを失ってしまうからです。

食物のみから必要量のヒアルロン酸を摂取するのは難しいのです。

ヒアルロン酸の活用用途

医療

変形性膝関節症や肩関節周囲炎(五十肩と呼ばれるもの)、関節リウマチなどの治療として、関節に注射によって直接ヒアルロン酸(を含めた関節機能改善薬)を注入します。

また、白内障や全層角膜移植術などの眼科手術補助剤や、内視鏡用粘膜下注入剤、点眼薬などにも利用されています。

美容

シワやくぼみが気になる部分にヒアルロン酸を注射器で注入し、皮膚をふっくらさせて目立たなくします。

ヒアルロン酸は、注入した部位から広がらずそこに留まるため、ほうれい線などの深い溝に対して有効とされています。

また、その特徴を生かし、鼻や唇などの整形手術にも利用されます。

美容医療によるヒアルロン酸の注入は、後述している化粧品やサプリメントなどとは違い、短期間で確実な効果を得ることができる方法です。そのため、すぐにでも肌の悩みを解決したいという人に支持されています。

ただし、ヒアルロン酸の注入は効果が一時的であり、半年から一年ほどで肌に吸収されて元に戻ると言われています。

化粧品

ヒアルロン酸配合の化粧品は数多く販売されており、実際に使ったことがあるという方も多いと思いますが、化粧品に使用されるヒアルロン酸の多くは、高分子のヒアルロン酸Naとなっており、成分が真皮層まで到達しません

しかし、ヒアルロン酸配合の化粧品を使って、肌が潤ったと感じた方もいるのではないでしょうか。これは、肌の表皮の中でも最も外側にあたる角質層に、ヒアルロン酸が浸透したためと思われます。ヒアルロン酸によって水分が保持されたことで、角質層内が潤い、肌にハリやツヤが出たと考えられます。

なお、最近は分子の小さいヒアルロン酸を配合した化粧品も販売されており、より深部への浸透が期待できます。

ヒアルロン酸配合の化粧品を選ぶ時は高分子か低分子なのかを確認し、目的に合わせて購入してください。

サプリメントや健康食品

年齢を重ねるごとに体内のヒアルロン酸が減っていくのなら、ヒアルロン酸が含まれるサプリメントやドリンク、健康食品などを摂取して補えばよい、と考える方は多いと思いますが、現時点ではヒアルロン酸を経口摂取しても、体内で糖に分解され、ヒアルロン酸として吸収されないという見方が一般的です。

ヒアルロン酸配合のサプリメントは販売されていますが、思うような効果を得ることができないと考えられています。

しかしそれは、経口摂取によるヒアルロン酸の効果を真っ向から否定するものではありません。

近年はヒアルロン酸を経口摂取した際、分子が大きいものであっても腸内細菌の働きによって低分子化されて吸収されるという研究結果が発表されており、「効果があるともないとも言えない」という見方に変わってきています。

今後の研究成果に期待したい成分です。

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