コエンザイムQ10

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コエンザイムQ10って何?

コエンザイムQ10は人の体内で合成される脂溶性の成分で、以前から医薬品として利用されていましたが、2001年に厚生労働省が食品への利用を許可したことを受け、一般にも認知が広がりました。ドラッグストアに色んなメーカーの商品が、急に増えだしたのもこの頃です。

とは言え、何となく「体によいもの」というイメージがあるだけで、実際どのような成分なのかよくわからないという方が多いのではないでしょうか。

そこで今回は、コエンザイムQ10について深く掘り下げてみたいと思います。

コエンザイムQ10は補酵素として働くもの

コエンザイム(coenzyme )は、日本語で「補酵素」という意味になります。補酵素とは、その名の通り酵素の働きを補う作用があります。

酵素はたんぱく質の一種で、食べ物の消化・吸収やエネルギーの代謝、呼吸や運動、思考など、生命活動を維持するために必要な化学反応を起こすためには欠かせない成分なのですが、単体で働くことができず、補酵素とタッグを組んで初めて、体内で様々な働きを行うことができます。(一部、補酵素がなくても働く酵素もあります)

「補酵素なんてあまり聞かない」と言う人もいるかも知れませんが、ビタミンやミネラルならどうでしょう?よく聞く栄養素ですが、実はビタミンやミネラルも補酵素の一種です。

コエンザイムQは複数ある

コエンザイム(補酵素)の中でもキノン(Quinone)にイソプレン側鎖が10個繋がった構造のため、コエンザイムQ10と呼ばれています。

ちなみにコエンザイムQは現在、1~13まで見つかっていて、人にはコエンザイムQ10のみが存在します。

体内で合成され、20才をピークに下降する

コエンザイムQ10は肝臓で合成された後、60兆個と言われる細胞内のミトコンドリアに存在しています。

中でも心臓、肝臓、腎臓、膵臓のように、エネルギーを多く使用する臓器の細胞に多く含まれていますが、コエンザイムQ10の合成は20才前後を境に年々減少し、40代では70%、80代では50%程度にまで減ってしまいます。(心臓の場合)

さらに病気やストレス、激しい運動、喫煙、飲酒、偏食などが原因でも合成量が減ると言われています。

かつてはビタミンQと呼ばれていた

コエンザイムQ10は、1950年代にイギリスで最初に発見され、当時はubiquinone(ユビキノン)と名付けられました。

その後、1957年にアメリカでも同じ働きを持つ成分が発見されましたが、ユビキノンとは違う成分と考えられたため、これをコエンザイムQ10としました。(後に同一成分ということがわかり、コエンザイムQ10が一般的に使われるようになります)

さらに、コエンザイムQ10はビタミンと同様に補酵素として働くため、ビタミンQとも呼ばれていました。

このようなことから、コエンザイムQ10には、ユビキノスやビタミンQと言った別の呼び方があります。

なお、ビタミンQという呼び方については、ビタミンとは違い(※)コエンザイムQ10が体内合成されることから、ビタミン様成分と改められるようになりました。(※ビタミンは体内合成できない成分です)

コエンザイムQ10の効果

エネルギーの産生

私達は、生きるために呼吸をして酸素を摂りこみ、食べ物から栄養を摂取していますが、これらは体内に入っただけではエネルギーとして活用できません。

エネルギーとして使用するには、ATP(アデノシン三リン酸)という物質に変換する必要があるのですが、コエンザイムQ10はこのATPの生成を助ける働きを行っています。

しかし、コエンザイムQ10は加齢とともに生成量が減っていくため、おのずとATPの生成も減ってしまいます。ATPの生成が減るということは、エネルギーが作られにくくなるということ。そのため、次のような症状が起こりやすくなると言われています。

  • 疲労が抜けない、倦怠感が続く
  • 血行不良による冷え症やむくみ
  • 代謝が落ちて太りやすくなる
  • 生活習慣病のリスクが増える
  • 腎臓や肝臓と言った老廃物の排出や無無毒化を促す内臓機能の低下
  • 免疫力の低下
  • 肌細胞の活性が失われ、たるみやしわ、シミなどができやすくなる

医薬品として使用されるコエンザイムQ10

日本では、コエンザイムQ10はユビデカレノンという名称で日本薬局方に登録されており、厚生労働省からは「基礎治療施行中の軽度及び中等度のうっ血性心不全症状」の効果が認められており、1日30㎎の用量が承認されています。

また、第三類医薬品(※)として、動悸や息切れ、むくみなどの改善薬として市販されているものもあります。
※ 薬剤師または講習を受けた登録販売者が販売できる医薬品のこと。

ビタミン剤や整腸剤などがこれに該当します。

抗酸化作用

私達は呼吸によって酸素を体内に取りこみ、エネルギーを産生しますが、その際、酸素の一部が酸化力の強い活性酸素という物質に変化します。

活性酸素には、体の免疫機能である白血球の働きを助けるというよい作用もあるのですが、多くは正常な細胞を酸化させてしまいます。酸化とは、簡単に言うと錆を発生させてしまうこと。

野ざらしになった鉄は、酸素と結びつくことで錆びると赤く色づいて朽ちてしまいますが、それと同じことが体内でも起こる、と考えるとわかりやすいのではないでしょうか。

コエンザイムQ10は、酸化を防ぐ抗酸化作用に優れた物質です。

抗酸化作用によってもたらされる効果は様々にありますが、中でも注目されているのがアンチエイジング(抗老化・抗加齢)です。特に肌は年齢が現れやすい部位なので、少しでも老化を遅らせることができたら嬉しいです。

なお、アンチエイジングには美容的な意味合いだけではなく、病気を予防する、健康を維持するなどの意味も含まれます。

サプリメントの摂取

コエンザイムQ10は、牛肉や鶏むね肉、イワシやサバなどの青魚、大豆、ピーナッツなどに比較的多く含まれていますが、100gあたり3~6㎎ほどしか含まれないため、必要量をすべて食品で補おうとしても難しい側面があります。

そのため、コエンザイムQ10はサプリメントを利用して摂取するのがよいと言われています。

酸化型と還元型

人の体内で合成されるコエンザイムQ10には、「酸化型(ユビキノン)」と「還元型(ユビキノール)」の2種類があります。体内のコエンザイムQ10のうち、95%は還元型と言われています。

それに対し、現在市販されているコエンザイムQ10のサプリメントは、多くが酸化型となっています。

酸化型は、摂取後小腸にて還元型への変換されるため、摂取自体に全く意味がないということはありません。しかし、加齢に伴って酸化型から還元型へ変換する機能も衰えるので、摂取した酸化型がすべて還元型に変換されるわけではなくなってしまいます。

このようなことから、しっかりとコエンザイムQ10の効果を得たい場合は、変換が必要ない還元型のサプリメントを選ぶのがよいと言われています。

ただし、還元型は空気に触れると簡単に酸化してしまう不安定な性質のため、サプリメントにする場合には脱酸素剤の使用や低温での保存が必須となります。結果、酸化型に比べて価格が高くなっています。

摂取のしかた

コエンザイムQ10は、脂溶性のため水に溶けにくく油に溶けやすいという性質があるため、油分を含んだ食事を摂った後に摂取すると吸収率が高くなると言われています。

また、同じ抗酸化物質であるビタミンCやビタミンEと一緒に摂ると、お互いの働きを高めて抗酸化力を強くすると言われています。

これとは逆に、カフェインやタンニンを含む飲み物(コーヒーや緑茶など)を同時に摂ると、コエンザイムQ10の吸収率が下がってしまいます。

さらに、ビタミンKには血液凝固作用がありますが、コエンザイムQ10にも似たような働きがあるため、重複して摂ると血栓ができやすくなってしまいます。同時摂取は避けるようにして下さい。

摂取量について

日本で流通しているコエンザイムQ10配合のサプリメントでは、1日の推奨量が100㎎としているものが最も多くなっています。

医薬品の場合は摂取量の上限が30mgと決まっていますが、サプリメントはあくまでも食品のため、特に上限が決められていません。

一般的には、健康維持や老化の予防のためにコエンザイムQ10を摂るなら一日30~100㎎、疲労回復や老化の改善に摂るなら一日300㎎ほどが必要であると考えられています。

ただし、エンザイムQ10は過剰摂取すると吐き気や下痢などの胃腸障害を起こすことがあるので、まずは30㎎から摂り始め、効果が感じられない場合に少しずつ量を増やしていくとよいでしょう。

化粧品について

美肌効果や美容面においてのアンチエイジング効果を狙ってコエンザイムQ10を摂る場合、サプリメントよりも化粧品で肌から吸収させた方が、効果が上がりやすいと言われています。

サプリメントで摂取すると、コエンザイムQ10を多く必要とする心臓や肝臓などに優先的に運ばれ、肌にはなかなか行き届かないというのがその理由です。

しかし、現時点では、コエンザイムQ10はそのままでは分子が大きいため(※)、肌に直接使用してもどこまで有効性があるのかはわかっていません。
(※)最近は、ナノレベルにまでコエンザイムQ10を小さくした化粧品も販売されています。

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