オリゴ糖

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オリゴ糖とは

オリゴ糖とは、単糖類(これ以上加水分解されない糖類)が2~10個(※1)結合したものを言います。

オリゴ糖のオリゴはギリシャ語で「少ない」という意味があり、結合が少数の糖類を総称してオリゴ糖と呼んでいます。

オリゴ「糖」と書くので糖質に分類されるものと思われがちですが、オリゴ糖は炭水化物に属します。(※2)

糖質は炭水化物の一種のため、同じものと思っている人も多いのですが、糖質と炭水化物には大きな違いがあります。

糖質は人の消化酵素によって分解、吸収される易消化性の性質を持ちますが、オリゴ糖は消化酵素では分解されない難消化性を持っています。同じ難消化性の性質を持つ成分に、食物繊維があります。

食物繊維は胃や小腸で消化されずに大腸まで届くため、お通じの改善などの効果があり、ダイエットや健康維持のために活用している人も多いですが、同じ難消化性であるオリゴ糖にも、食物繊維と同等の効果が期待できると言われています。

(※1)数については曖昧な点も多く、3個以上結合したものをオリゴ糖と定義している場合もあります。また、上限についても明確な基準はなく、通常は10個程度までの結合をオリゴ糖と呼ぶことが多いようです。

(※2)易消化性のオリゴ糖は、炭水化物ではなく糖質に分類されることがあります。

オリゴ糖の発見

オリゴ糖は、母乳で育った赤ちゃんとミルクで育った赤ちゃんの健康状態の違いから発見されました。

母乳で育った赤ちゃんは下痢をしても症状が軽く済むのに対し、ミルクで育った赤ちゃんは下痢を起こしやすく症状も悪化しやすかったため、双方の便を調べたところ、母乳で育った赤ちゃんの腸内にはビフィズス菌が多く存在することがわかりました。

人の腸内には1,000種類以上の腸内細菌が存在し、その数は500~1,000兆個にも及びます。

腸内細菌は、腸内で有益に働く善玉菌と有害な悪玉菌、そのどちらにも属さない日和見菌に分かれ、ビフィズス菌は善玉菌の一種です。

日和見菌はその名の通り、有利な方に付く性質があります。日和見菌は、腸内が善玉菌優勢の時は特に悪さをしませんが、悪玉菌優勢になるとそれに加担する形となるため、さらに腸内環境を悪化させてしまうことがわかっています。

つまり、ミルクで育った赤ちゃんはビフィズス菌が少ないため腸内が悪玉菌優勢の状態となり、下痢などを起こしやすかったと考えられます。

ただし、この時点ではどうして母乳で育った赤ちゃんの腸内にビフィズス菌が多いのかはわかっていませんでした。

その後、さらに研究が進められ、母乳に含まれているオリゴ糖に腸内のビフィズス菌を増やす働きがあることがわかりました。

オリゴ糖の効果

オリゴ糖は腸内の善玉菌(ビフィズス菌)を増やす働きがありますが、それによって得られる効果には具体的に次のようなものがあります。

便秘解消

オリゴ糖が大腸に届くと、ビフィズス菌のエサとなりビフィズス菌を活性化させますが、その際有機酸が生成され、腸内を酸性に傾けます。

悪玉菌にとって酸性は棲み難いため、悪玉菌が減って善玉菌が優勢の腸内環境を作ることができます。

また、有機酸には大腸の腸壁を刺激する働きがあり、これによって腸のぜん動運動が促され、お通じがよくなると言われています。

美肌効果

便秘になると肌の調子が悪くなることはないでしょうか。

これは、腸に溜まった便が腐敗し、それによって発生した毒素が腸壁から吸収されて血液に乗り、毒素を含んだ血液が流れることによって皮膚の細胞の活性化が抑えられるからです。

そのため、オリゴ糖の摂取によってお腹の調子が整って善玉菌が増えると、便秘が解消されて肌の調子が整いやすくなります。

生活習慣病の予防や改善

腸内の善玉菌には血液中の善玉コレステロール(HDLコレステロール)を増やす働きがあり、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を減らし、動脈硬化や高血圧などの生活習慣病の予防や改善に役立つと言われています。

免疫力の向上

免疫とは、ウイルスや細菌などから体を守る防御機能ですが、この機能は免疫細胞が体内をくまなくパトロールすることで維持されています。免疫細胞の60%は腸内にて生成されていると言われています。

そのため、悪玉菌が増えて腸内環境が悪化すると、免疫細胞が作られにくくなり、免疫力が落ちて風邪などの感染症にかかりやすくなってしまいます。

逆に善玉菌を増えると免疫力を上がり、感染症にかかりにくくなります。

また、オリゴ糖にはビフィズス菌を増やす以外にも次のような効果も期待できます。

血糖値の上昇を抑える

オリゴ糖は低GI食品に分類されます。

GI値は、グリセミック・インデックス(Glycemic Index)と言い、食後に血糖値が上がるスピードを数値化したものです。値が大きいほど食後に血糖値の上昇が速いことを示し、ブドウ糖の100を基準として考えられています。

値が60以下のものを一般的に低GI食品としていますが、オリゴ糖は10~20程度のため、低GI食品の中でも特にGI値の低い食品の一つと言えるでしょう。

虫歯の予防

虫歯は、ミュータンス菌が食物に含まれる糖質を分解して酸を作り、その酸が歯を溶かすことで起こりますが、オリゴ糖はミュータンス菌に利用されないため、酸を作り出すことができません。

ダイエットにオリゴ糖がよい理由

オリゴ糖は甘味があるため、カロリーの高い白砂糖やグラニュー糖の代わりに使うことで、手軽に摂取カロリーを抑えることができます。

また、血糖値の上昇は糖尿病などの生活習慣病を招くだけではなく、肥満の原因となることがわかっています。

血糖値が上がると、膵臓からインスリンというホルモンが分泌されますが、インスリンには糖を分解して細胞に運ぶ働きの他、余分な糖を脂肪として溜め込む性質もあります。血糖値が急激に上がるとインスリンの分泌量も増え、太りやすくなってしまいますが、オリゴ糖は低GI食品なのでそのような心配がありません。

ダイエット中、甘味が恋しくなった時はオリゴ糖を上手に使うと、カロリーの摂り過ぎや血糖値の上昇を防ぐことができます。

腸活に利用したいオリゴ糖

近年、「腸活」が健康や美容、ダイエットによいとして注目されています。

腸活とは、簡単に言うと善玉菌を増やすための食生活を行うこと。

よく、便秘解消のためにヨーグルトを食べるとよいと言われますが、これはヨーグルトに含まれる乳酸菌やビフィズス菌が善玉菌だからです。そのため、ヨーグルトを食べることは腸活に繋がります。

しかし、悪玉菌が優勢になった(つまりは腸内環境が悪化した)状態では、いくら善玉菌を摂っても、摂取した善玉菌が腸に定着しにくく、結果、思うように便秘が改善されないことがあります。

これに対し、オリゴ糖は腸内にすでにある善玉菌のエサとなるため、悪玉菌優勢の中でも善玉菌を増やす効果が期待できると言われています。

オリゴ糖の種類

オリゴ糖は2~10個程度の単糖類が結合したものの総称のため、一口にオリゴ糖と言っても様々な種類があります。

そこでここでは、代表的なオリゴ糖の種類をご紹介したいと思います。

フラクトオリゴ糖

ショ糖(砂糖の主成分)の30~60%の甘味度を持ちながら、カロリーは砂糖の半分の2㎉/gしかなく、虫歯を作りにくい特徴があることから、砂糖に代わる甘味料として最も注目を集めているオリゴ糖です。

オリゴ糖がダイエットや健康によいものとして紹介される場合、多くがフラクトオリゴ糖のことを指しています。

フラクトオリゴ糖は難消化性のため、摂取しても吸収されずに腸で働き、ビフィズス菌を活性化させる効果があります。その効果は、消費者庁から特定保健用食品(※3)の認定を受けています。
(※3)特定保健用食品とは、お腹の調子を整えるなど特定の保健に対して、有効性や安全性の科学的根拠が認められ、その旨を表示することを国(消費者庁)に許可されている食品です。

また、フラクトオリゴ糖にはミネラルの吸収を促す効果もあります。

フラクトオリゴ糖は、アスパラガスやごぼう、たまねぎ、にんにく、バナナなどに含まれています。

イソマルトオリゴ糖

ショ糖の40~50%の甘味度を持ち、熱や酸に強い特徴があります。

ビフィズス菌を増やす働きが認められており、消費者庁から特定保健用食品の認定を受けていますが、オリゴ糖の中では難消化性が高い方ではありません。

また、カロリーが砂糖と同じ4㎉/gあるため、摂り過ぎるとカロリーの摂取が多くなってしまいます。

ダイエットのために摂取するには、やや不向きのオリゴ糖と言えるでしょう。

イソマルトオリゴ糖は、食品では醤油や味噌、はちみつなどに含まれています。

ガラクトオリゴ糖

乳糖に、β-ガラクトシターゼという乳糖分解酵素を作用させて生成されるオリゴ糖です。

熱や酸に強いため、調理や保存で壊れることがなく、多くの食品に使われています。

ガラクトオリゴ糖はビフィズス菌を増やす効果があり、消費者庁から特定保健用食品の認定を受けています。

甘味度はショ糖の25~35%ほどで、難消化性で低カロリー、加えてミネラルの吸収を促す効果もあるため、ダイエットの摂取には向いていますが、ガラクトオリゴ糖が主に含まれるのは母乳のため、食品からの摂取は難しいでしょう。

(ガラクトオリゴ糖は牛乳にも含まれますが、母乳よりも少ない量となっています)

キシロオリゴ糖

ショ糖の25~40%の甘味度ですが、甘味度の幅が広いフラクトオリゴ糖よりも安定した甘味度が特徴です。

難消化性で熱や酸に強く、他のオリゴ糖と比べて少量で効果を発揮すると言われています。

ビフィズス菌に対する働きも認められており、こちらも特定保健用食品の認定を受けています。

自然界ではタケノコやトウモロコシに含まれていますが、微量のため、キシランという食物繊維に酵素を作用させて生成されたものが多く利用されています。

大豆オリゴ糖

その名の通り、大豆に含まれているオリゴ糖です。

甘味度がトップクラスに高く、低カロリーで難消化性であることや、食品から摂取しやすいという特徴があります。

また、ビフィズス菌を増やす効果が認められた特定保健用食品の認定を受けています。

大豆を原料とした豆腐やきな粉などから摂取できますが、甘味が強いので甘味料として使用されることが多く、大豆オリゴ糖シロップとして食品に添加されています。

乳果オリゴ糖

乳糖とショ糖を原料に、酵素を作用させて生成されるオリゴ糖です。

砂糖に近い甘味を持ち、難消化性で、腸内でビフィズス菌を増やす働きに優れています。また、ミネラルの吸収を促す働きもあります。

乳果オリゴ糖も、特定保健用食品の認定を受けています。

オリゴ糖の摂り方

消費者庁の「特定保健用食品(規格基準型)制度における規格基準」によると、オリゴ糖の一日の摂取量の目安は次の通りとなっています。

  • フラクトオリゴ糖 3~8g
  • イソマルトオリゴ糖 10g
  • ガラクトオリゴ糖 2~5g
  • キシロオリゴ糖 1~3g
  • 大豆オリゴ糖 2~6g
  • 乳果オリゴ糖 2~8g

オリゴ糖は難消化性の性質から、一度に摂ると下痢や腹痛などの症状を引き起こす恐れがあります。一日の目安量を一度に摂るのではなく、2~3回に分けて摂るのがよいです。

また、オリゴ糖の摂取は食品で摂取する以外に、粉末・液体になったものを利用する方法もあります。

粉末・液体のものは水分などに入れるだけで手軽にオリゴ糖を摂ることができますが、液体のオリゴ糖の場合は水あめなどショ糖などが添加されていることがあるため、カロリーを抑えるためにオリゴ糖を使用する時は、成分表を必ず確認するようにしましょう。

オリゴ糖をダイエットに利用するには

オリゴ糖は一般的に甘味をつけるために使われる砂糖(白砂糖、グラニュー糖)よりもカロリーが低いため、砂糖の代わりに使うと手軽に摂取カロリーを抑えることができます。

また、食事の前に摂取すると、食後の血糖値の上昇を抑え、食べた物が脂肪に変わるのを防いでくれます。

オリゴ糖と一緒に摂るとよい食品

オリゴ糖は、単独で摂取しても腸内の善玉菌を活性化させ、増やす働きがありますが、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌を含む食品と一緒に摂ることで、その効果をさらに高めることができると言われています。

例えば、ヨーグルトやキムチ、漬物にはビフィズス菌や乳酸菌が含まれています。

また、納豆には善玉菌の一種である納豆菌が含まれているので、これらを摂取する際にオリゴ糖を一緒に摂ると効果を高めることができます。

さらに、オリゴ糖と同様に腸内の善玉菌のエサとなって善玉菌を増やす働きのある食物繊維を一緒に摂るのもお勧めです。

食物繊維は善玉菌のエサになる以外に、便のかさを増やして腸壁を刺激し、お通じを改善する効果もあります。

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