イソフラボン

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イソフラボンとは

イソフラボン(※)は、大豆の胚芽部分に多く含まれており、その他には葛、レッドクローバーなどマメ科の植物に含まれる成分の総称で、フラボノイドの一種です。

ただし、含有量が多い大豆でも、一粒に0.2~0.4%ほどしか含まれていないため、とても貴重な成分です。

※食物として摂取する場合、その多くは大豆となるため、イソフラボン=大豆イソフラボンというのが一般的な認識です。そのため、ここでもイソフラボンは大豆イソフラボンを指して説明しています。

エストロゲン様作用

大豆はタンパク質を始めとした栄養成分を多く含み、「畑のお肉」と称されて長く人々に愛されてきました。

それが、近年の研究によって、大豆に含まれるイソフラボンが女性ホルモンに似た働きをすることがわかり、女性特有の症状の緩和や改善に役立つとして注目されるようになりました。

詳しい内容については後述していますが、イソフラボンが女性ホルモンの中の「エストロゲン」に似た働きをすることから、フィト(植物性)エストロゲンとも呼ばれています。

イソフラボンの種類

グリコシド型イソフラボン

豆腐、きな粉、納豆などに多く含まれており、分子量が大きく糖が結合しているため、体内で吸収されるまでに時間が掛かるという特徴があります。

また、グリコシド型イソフラボンは、摂取後に腸管細菌によって糖が分解されて、アグリコン型イソフラボンへと変化しますが、その場合でも20%ほどしか吸収されません。

アグリコン型イソフラボン

麹菌によって大豆を発酵させて作る味噌や醤油に多く含まれます。

グリコシド型イソフラボンに比べて分子量が小さいため、吸収されやすいという特徴があります。

さらに、アグリコン型イソフラボンには、ダイゼイン、ゲニステイン、グリシテインの3種類があり、エストロゲン様の作用が最も強いのがゲニステイン、弱いのがダイゼイン、ほとんどないのがグリシテインとなっています。

スーパーイソフラボン「エクオール」

エクオールはアグリコン型イソフラボンの中の、ダイゼインから産生される代謝物。

ダイゼインを含んだアグリコン型イソフラボンが、腸内細菌によって分解されることで作られるのですが、エストロゲン様作用がイソフラボンよりも高いことから、スーパーイソフラボンと呼ばれています。

ただし、エクオールは腸内細菌にエクオール産生菌(ラクトコッカス20-92など)が常在しており、また十分な活動ができている状態で初めて代謝物として産生されます。

そのため、ダイゼインを含むイソフラボンを摂取したからと言って、必ずしも誰もが体内で作れるわけではありません。

ちなみに、日本人女性では、中高年が50%の割合でエクオールを作れるのに対し、若年(20代)では20%ほどしか作れないと言われています。

エクオールは、大豆を始めとしたイソフラボンの摂取が多い国や地域では、作れる人の割合が比較的高く、日本人女性の中高年の50%も世界的に見ると高い割合です。

一方、若年層で割合が低いのは、欧米食が主流となっていて大豆を食べる食生活を送っていないことが原因と考えられています。

イソフラボンの効果

イソフラボンがエストロゲンに似た働きをすると言われているのは、次の2つが主な理由です。

  • 化学構造が似ているから
  • エストロゲンレセプター(受容体)に結合するから

イソフラボンはエストロゲンに似た化学構造をしているので、レセプターにも上手く噛み合い、エストロゲン様の働きができるというわけです。

しかし、似ていると言っても実際には構造は違うため、同じような効力は望めません。

イソフラボンの働きは、エストロゲンの1,000~10,000分の1程度と言われ、その作用はとても穏やかです。

エストロゲンの働き

女性ホルモンには、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類があり、一定の周期で卵巣から交互に分泌されます。

エストロゲンは、本来は子宮内膜を厚くして妊娠しやすい状態を作るために分泌されるホルモンですが、別名「美人ホルモン」と呼ばれることからもわかるように、女性が女性らしい美しさを保つために欠かせない働きを行っています。

エストロゲンは、生理が終わってから排卵までの卵胞期に分泌され、排卵の直前に最も分泌量が増えます。

生理が終わると心身共に調子がよくなると感じる女性は多いですが、それはエストロゲンの分泌が盛んに行われることが関係しています。

一方のプロゲステロンは、排卵後から次の生理までの黄体期に分泌されます。

妊娠を継続させる働きがあることから「母ホルモン」とも呼ばれますが、体温を上げ、水分や栄養を溜め込むので、体がだるい、むくみ、太りやすくなるなどの症状が現れます。

また、プロゲステロンの分泌が増えると交感神経が優位になるため、イライラしやすくなったり、気分が落ち込んだりと安定しません。

更年期障害の改善

日本人女性の平均閉経年齢は50才と言われており(個人差があります)、一般的に閉経の前後5年の期間(45~55才)を更年期と呼んでいます。

更年期になると卵巣の機能が衰えて女性ホルモンの分泌が低下しますが、中でもエストロゲンが不足することで、更年期特有の症状が起こりやすくなります。

更年期の症状には、主に次のようなものが挙げられます。

  • 頭痛
  • めまい
  • 疲れやすい、倦怠感が強い
  • 憂鬱な気分になる
  • 記憶力の低下
  • 不眠
  • のぼせ、ほてり、ホットフラッシュ
  • 寝汗
  • 動悸
  • 肩こり、関節痛
  • 食欲不振、吐き気
  • 下痢、便秘
  • 月経異常
  • 頻尿
  • 皮膚のかゆみ など

イソフラボンには、エストロゲンに似た働きがあることから、イソフラボンを摂取することで、更年期に伴う症状を緩和、改善する効果が期待できると言われています。

乳ガンの予防

イソフラボンには、エストロゲン様作用だけではなく、抗エストロゲン様作用もあります。

抗エストロゲン様作用とは、簡単に言うとエストロゲンの働きを妨げる働きのこと。

エストロゲンは、女性らしさを保つには欠かせないホルモンと言われていますが、その反面過剰に分泌されると乳ガンの原因になることがわかっています。

イソフラボンは、増え過ぎたエストロゲンとレセプターを取り合うことで、レセプターとの結合を阻害し、結果的にエストロゲンの働きを抑制するため、乳ガンの予防に役立つと言われています。

美肌効果

エストロゲンには、肌のハリやツヤに関わるコラーゲンやヒアルロン酸の生成を促す繊維芽細胞を活性化する働きがあります。

そのため、加齢によってエストロゲンの量が減ると、しわたたるみを引き起こしやすくなりますがイソフラボンにはエストロゲン様作用があることから、コラーゲンやヒアルロン酸の減少を抑え、肌の水分量を保つ働きがあると言われています。

また、イソフラボンはフラボノイドの一種であることから、活性酸素を除去する抗酸化作用に優れています。

活性酸素は細胞を酸化させ、肌の老化を促進するもの。イソフラボンによって活性酸素が除去されることで、肌の若々しさや瑞々しさを維持する効果が期待できると言われています。

骨粗しょう症の予防や改善

閉経が近づいてくると、骨粗しょう症になるリスクが高まると言われています。

これは、エストロゲンに骨からカルシウムが溶け出すのを防ぐ働きがあるからです。更年期に入るとエストロゲンの分泌が減るため、その働きが衰えて骨粗しょう症になりやすくなってしまうのです。

このようなことから、骨粗しょう症の予防や改善にエストロゲンがよいと言われています。

イソフラボンの摂り方

内閣府食品安全委員会では、イソフラボンの一日の摂取目安量の上限を、アグリコン型イソフラボン換算値で70~75㎎としています。

近年の日本人のイソフラボン摂取量は16~22㎎/日となっており、一般的な食事では目安量を大幅に超えることはないと考えられます。

さらにその上で意識的にイソフラボンを摂る場合、食事であってもサプリメントであっても、上限値である75㎎を超えなければ特に問題はありません。

75㎎という上限も「毎日欠かさず長期間摂取した場合」にリスクが発生する恐れがあるというもので、一時的に75㎎を超える摂取を行ったからといって、ただちに何かしらの症状が出るわけではありません。

摂るタイミング

イソフラボンは、摂取後6~7時間で半減してしまうため、体内のエストロゲン濃度を一定に保つには、一度に摂るよりも数回に分けて摂るのが効果的と言われています。

特に朝は胃や腸の中がからっぽの状態なので、吸収率が上がります。

ただし、閉経前の女性については、イソフラボンを摂り過ぎてしまうとホルモンバランスが乱れてしまい、PMS(月経前症候群)などの症状を悪化させる場合があるため、過剰摂取にならないように十分に気を付けて下さい。

食事でイソフラボンを摂る

ここでは、主な大豆製品に含まれているイソフラボンの含有量をご紹介します。

食事でイソフラボンを摂取したい時に参考にしてみて下さい。

  • 味噌汁一杯(20g)6㎎
  • 納豆1パック(45g)36㎎
  • 豆乳1パック(200g)50㎎
  • 豆腐半丁(150g)40㎎
  • 大豆水煮(30g)13㎎
  • 薄揚げ(30g)12㎎

イソフラボン含有量は、原料となる大豆などによって差があるため、同じ豆腐でも木綿、絹、充填ではそれぞれ違います。上記はあくまでも目安としてご覧下さい。

サプリメントで摂る

サプリメントや特定保健用食品によるイソフラボンの摂取は、一日30㎎以下になるよう推奨されています。

一日の上限である75㎎を超えず、かつ30㎎以下であれば、サプリメントなどで摂取しても特に問題はありません。

ただし、妊婦、胎児、乳幼児、小児については、サプリメントなどでイソフラボンを摂取することは推奨されていません。15才以下の子どもや妊娠中の方、授乳中の方はイソフラボンをサプリメントなどで摂取しないようにしましょう。

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